はじめに結論
生命維持機能の幹部を過労死させないため
器官に対する恒常性の好待遇
体温が上昇したときに汗が出たり、体温が低下したときに皮膚温が低くなるのは、核心温度を守るためである。
核心温度によって脳、心臓、肝臓などの重要な器官の機能を守り、生命を維持させる。
この生命維持には、恒常性が関係する。
わかりやすいように、今から例え話をする。
恒常性という企業は、体内の最適温度を保って待遇面をよくする代わりに、器官という社員に最高のパフォーマンスを要求する。
つまり、恒常性は最適温度という労働環境を保つことによって、脳や心臓、肝臓などの器官の過労死を防いでくれるホワイト企業なのだ。
このように恒常性は、体温調節によって私たちの生命を維持させている。
核心温度と外殻温度
温度は核心温度と外殻温度に分類される。
核心温度は、体幹部の温度を指す。
日内変動があるため、時間帯によって一定となる温度は変わるが、外気温にはあまり影響されない。体幹部にある脳、心臓、肝臓などの重要な器官の機能を守るためだ。
外殻温度は、外気温と接する皮膚付近の温度を指す。
周囲環境の温度によって変化する。
(参考:橋本尚詞,鯉淵典之編著『新体系 看護学全書 人体の構造と機能① 解剖生理学』平成14年,メヂカルフレンド社,p529)
皮膚循環とは
簡単にいうと、真皮にある動脈網から真皮にある静脈叢へと血液が流れまでの一連の過程のこと。
(参考:橋本尚詞,鯉淵典之編著『新体系 看護学全書 人体の構造と機能① 解剖生理学』平成14年,メヂカルフレンド社,p153)
血管の太さで耐熱放散をコントロールする
なぜ体熱の放散や放散抑制が起こるか。
なぜなら、ヒトが恒常性(ホメオスタシス)という性質を持つからだ。それによって、体内環境が一定に保たれる。
ここでは、外殻温度の変化を見ていく。
体温上昇→血管拡張→体熱放散
最適温度とは、脳や臓器などの器官が良いパフォーマンスを行える温度だ。
体温が上昇すると、最適温度ではなくなるため、脳や臓器などの器官の働きが鈍くなる。
待遇面の悪い環境下で器官を働かせて、過労死させては、ブラックだ。
それでは生命維持に支障が出るということで、恒常性が働き、器官の環境を整える。
血管が拡張して皮膚に流れる血液量を増加させ、血液と外部付近との接触面積を多くする。すると、対流や伝導などの熱移動が盛んになり、体内の余分な体熱の放散を促進する。
体温低下→血管収縮→体熱放散抑制
外気温や体温が低下すると、これまた最適温度ではなくなるため、脳や臓器などの器官の働きが鈍くなる。
このときも、体温上昇時と同様な理由で、体熱を逃さないための体温調節をする。
血管が収縮して皮膚に流れる血液量を減少させ、血液と外部付近との接触面積を少なくする。すると、対流や伝導などの熱移動が少なくなり、体熱の放散が抑制される。
まとめ
体温調節は、外殻温度部位での体熱の放散と放散抑制によって行われる。それは、核心温度部位にある脳や心臓、肝臓などの器官の機能を守り、生命を維持させるためだ。
体温が上昇したときは、体熱を放散する。
逆に、体温が低下したときには、体熱を逃さないように体熱の放散を抑制する。
<参考文献>
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