幼児期とは、生後1年〜就学前までの期間を指す。
そして、この幼児期というのは、
①人間が社会生活を送る上で必要な基本的能力
②集団生活に適応できる基本的な生活習慣
を獲得する時期である。
この時期には以下の成長・発達が見られる。
- 形質的発育
- 生理的機能の発達
- 運動機能の発達
- ピアジェの認知発達論
- 情緒的・社会的発達
形質的発育
年齢 | 出生時 | 3~4ヶ月 | 1歳 | 2.5~3歳 | 4歳 |
出生時体重比 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
体重(kg) | 3 | 6 | 9 | 12 | 15 |
年齢 | 出生時 | 1歳~1歳3ヶ月 | 4歳頃 |
出生時身長比 | 1 | 1.5 | 2 |
身長(cm) | 50 | 75 | 100 |
生理的機能の発達
機能 | 特徴 | |
呼吸 | 呼吸数は乳児より減少。胸式呼吸へ。 | 20~30回 |
脈拍・心拍 | 心臓は大きくなり、心筋の筋力が増加するため、心拍数が減少する。 | 90~100回/分 |
血圧 | 成長に伴い、収縮期圧は増加 | 90~100 /60~65mmHg |
体温 | 日内変動が減少し、体温は安定する | |
神経系 | 脳重量は5~6歳で成人の約90%に達する | |
免疫系 | IgMは1歳頃、IgGは5~6歳頃に成人と同程度になる。 |
運動機能の発達
粗大運動
1歳過ぎ | 1歳半~1歳9ヶ月頃 | 2歳半頃 | 3歳半頃 | 4歳半頃 |
歩行開始(両手を挙げて) | 歩行が確率(腕が下になる) | 転ぶことなく、上手に歩ける | 走れる | リズムに合わせたケンケン可能 |
前方だけでなく横や後ろへの歩行可能 | 片足を挙げてバランスが取れる | ケンケンできる | スキップできる | |
手すりを持って階段を1段ずつ足を揃えて上下可能 | 足を交互に出して階段を上り、降りる時は1段ずつ揃えて降りる | 三輪車に乗れる | 利き腕を使って上からボールを投げることができる |
微細運動
1歳半頃 | 2歳半頃 | 3歳半頃 | 4歳半頃 |
積み木を3つ重ねられる | 瓶の蓋などを開けたり閉めたりする | 円を模写する | 四角を模写 |
絵本のページめくり可能。粘土をちぎる・丸める。 | 折り紙の簡単な折り合わせ可能 | 簡単な人がかける。指先を協応させて折り紙をきちんと合わせ折れる。(体の部位の名前・場所わかってくるから) | |
ハサミで1回切りする | ハサミで直線切りできる | ハサミで円を切る |
ピアジェの認知発達論
段階 | 特徴 |
感覚運動的段階(0~2歳頃) | 感覚器や身体運動を通じて外界を認知する。Ex)舐める、触れる、叩く |
前操作的段階(2歳~7歳頃) | 記憶、知識、イメージなどを使って頭の中で考えたことを表象できる。思考の特徴は自己中心性、アニミズム、人工主義、実念論、空想 |
具体的操作段階(7歳~12歳頃) | 具体的事象を下に論理操作が可能 |
形式的操作段階(12歳以上) | 具体的事象に囚われず、頭の中だけで推論でき、目に見えない事象についても抽象的、論理的に思考できる。 |
表象能力とは
目の前にそのものがなくても、頭の中でイメージできる能力
自己中心性とは
- 他人の視点があることを理解できていない点が、大人の自己中心とは違う点。
- 自分の見えているものが全てであり、他の人にも自分と同じものが見えていると思い込んでいる。
- 他者の視点から物事を捉えることはまだ難しい
- 他者の気持ちや思考内容を正しく推論できるのは4歳以降
Ex)サリーとアンの課題
アニミズムとは
- 無生物にも自分と同じように生命や感情があると感じること
→自他の未分化(自己中心性による) - 4〜5歳になると減少してくる
人工主義
自然現象が人間によって引き起こされていると信じていること
実念論とは
思考、言語、夢など内的に生み出されたものが外界に存在すると考えること。
情緒的・社会的発達
分離不安は愛着形成の証拠
幼児は、乳児に形成された愛着の相手、すなわち、養育者を安全基地(重要他者)を確認できることで、次の探索活動が可能となる。1〜1歳半頃のことである。
愛着が形成されたかをどうかは、分離不安が起こるかどうかで確認できる。
また、分離不安が生じる過程に次のことがある。
歩行によって分離意識が芽生えたとしても、母親がいなくては自分が無力であることに気付いくことにより、分離することに不安を感じるということだ。
エリクソンの発達段階
課題 | 危機 | 獲得要素 | |
乳児期 | 基本的信頼 | 不信感 | 希望 |
幼児前期(1~3歳) | 自律性 | 恥・疑惑 | 意思 |
幼児後期(3~6歳) | 積極性 | 罪悪感 | 目的 |
乳児期:基本的信頼 vs 不信感;希望
乳児期には、母親と過ごす日々の中で様々な感情を持ちます。
https://coeteco.jp/articles/10725
例えば、不快、不安、恐怖などの感情です。その中で、母親がしっかりと不快や不安のような負の感情を取り除くことより、母親に対する基本的信頼感を得ることができます。
基本的信頼感を獲得することができた子どもは、希望を持ち、今後出会う様々なものを「信じる」ことが可能になります。それに対し、基本的信頼感を得られなかった場合、負の感情は消えず、基本的不信感を持ち続けることになります。
幼児前期(1~3歳):自律性 vs 恥・疑惑;意思
幼児前期では、「意識」を得ることが課題です。
この時期は、自分で食事ができるようになったり、衣類も自分で脱ぎ着できるようになったりしてくる時期です。失敗したり、怒られたりしたらどうしよう、自分にできるのかなと不安になるのが自律性を得る段階で出てくる課題です。
その不安を自律性に変え、自分でやってみる、やりたいとなればクリアです。失敗しても自分自身を受け入れてくれる環境が自律性を育みます。
https://coeteco.jp/articles/10725
幼児後期(3~6歳):積極性 vs 罪悪感;目的
この時期の子どもは「目的」を得ることが課題です。
https://coeteco.jp/articles/10725
色々なことに興味を示す時期ですが、親に注意される、これをやってはいけないだろうと思いながらも、積極性が勝つと自分がそれをしたい理由が分かり目的を持てるようになります。それが他のことにも応用されていきます。
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