木村紅美『雪子さんの足音』孤独と慣れと甘えと…人としてのあり方を学ぶ

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今回紹介する書籍である。

核家族化のために増える孤独死、人間関係の希薄化への慣れ。

この本には、現在の社会の様子が描かれていると感じました。

この本は主に雪子さんと主人公がメインです。

雪子さんは、身内が全員なくなってしまって独り身でした。

雪子さんが下宿人たちへ手厚いサポートを施していた理由には、その寂しさが隠れているのではないかと思います。

そうだとしても、とても良い行動だと思います。

見習いたいです。

雪子さんの若い頃は、大勢の人に見守られながら長い眠りにつくのが一般的だったと思います。

ですから、死ぬなら、せめて早いうちに誰かに見つけて欲しい、という雪子さんの気持ちは分からないわけではありません。

こんな雪子さんですが、息子まで死んでしまって、生きる意味を見失ったりしなかったのだろうかと思いました。

もしかすると、寂しさから来る孤独と、社会から孤立してしまったという感覚を感じないようにしたいという思いがあったのかもしれません。

だから、自分と社会をつなぎとめるために、あれほど下宿人に対して世話焼きになったのではないでしょうか。

また、主人公は、最初こそ、雪子さんの好意を受け取ることに罪悪感を感じていましたが、慣れというのは怖いものです。

主人公は、やがて人の善意に甘えて嘘をつき、苦労をせずに稼ぐことに慣れてしまいました。

雪子さんの優しさに対する態度は大変利己的でしたので、わたしは、雪子さんの期待にもっと応えようとして欲しい、と願わずにはいられませんでした。

特に、主人公が雪子さんやOLの部屋に不法侵入した際は、主人公のことを心底とても嫌に思いました。

人には、それぞれ好みの付き合い方がありますが、このようにも残酷な形で人を扱える人がいるということに、わたしは悲しみをおぼえました。

私は、雪子さんのような世話焼きな祖母がいます。

だから、祖母には色々と気遣ってくれることに感謝しかないです。

ただ、会社でいじめを受けていた下宿人の女性が、唯一人間関係を築いた男性として主人公に好意を持ってしまうことは避けるべきでした。

人間関係の希薄化が進む現在、雪子さんのような心を持つ大家さんがいることは素晴らしいです。


これ以外に自分の生き方について考えさせられる本をご紹介いたします。

もちろん、人それぞれに感じ方はちがうでしょうが、こんな視点もあるのだな、と学べると思います。

ぜひご覧くださいね。

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