発達と成長は違う
発達とは、低い段階から高い段階へと向かう質的な変化のことです。
ですから、身体的な重量や数量などの量的な増加を指す成長とは区別されます。
成長と発達は正に相関する
しかし、区別はされるものの、両方がそろって初めて人は次の段階にすすむことができます。
別のいい方をすると、成長と発達の2つが組み合わさることによって、
人は新しい機能を手にできるのです。
もっとおおざっぱにいえば、
身体的に大きくなることを成長といい、
新たな能力や機能を獲得することを発達ということができます。
例えば、人が話すために必要なことを考えてみましょう。
まず、言葉の意味を理解しなければなりません。
言語機能が必要なので、脳の発達が必要です。
これは、脳の発達という量的増加の点では成長の区分ですが
言語機能の獲得という質的増加の点では発達です。
そして、言葉を話すには、舌や口などという口腔機能の筋肉を動かせる必要があります。
筋肉は身体的なものであり、
量的な増加や脳との連携が要求されるので、
成長の区分に入るといえるでしょう。
他にも例を挙げてみましょう。
私が使っている教科書の例を引用しますね。
少し文章を省略して読みやすくしますよ。
成長の面からみると、誕生時の体重は3kgだが、1歳時では3倍の9kgになるという、直線的な増加。
発達の面からみると、誕生時に首すわりが不可能だったが、1歳頃には自立歩行が可能になるという、新しい運動機能の獲得。
そして、この1歳頃の自立歩行(発達)というのは、1歳頃の体重や身障(成長)の体のプロポーションと密接に関係している。
このように考えると、
広義の発達には、狭義の成長および狭義の発達が含まれることになる。
発達は成長よりもより広い概念である。
上田礼子『生涯人間発達学 改訂版第2版増補版』2012,三輪書店,p.2
<参考文献>
こども時代までは成長と発達は一次関数
こども時代は、身体的に大きくなる(成長)に伴って、さまざまな機能が分化していきます。
その後、それらの機能はそれぞれにバラバラになるのではありません。
組み合わされてより高いレベルへで統合されていくのです。
そして、機能獲得という質的な変化(発達)がもたらされます。
つまり、こどもというは、
身体的な成長がなければ、
社会で生存するための機能を獲得できない
ともいえますね。
だからこそ、こどものときに規則正しい生活リズムを保ち、運動や睡眠、摂食行動を十分に実施することはとても重要なのではないでしょうか。
<商品紹介>
まとめ
社会で生きていくためには、さまざまな能力や機能の獲得が必要ですが、そのためには、まずはこども時代の健全な身体的な成長が欠かせません。
したがって、こどもの社会における生存率を上げるためには、まずはこども時代の生活を整え、身体的発達を促進する行動が大切です。
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