「どうしてそう思うのですか」…本心を打ち明けてほしい
私は自分の動きをとめ、患者と視線を合わせて「どうしてそう思うのですか」と答える。
無闇に事実を伝えては患者の治療意欲を削ぐ可能性がある。ひとまず、このオープンクエスチョンを通じて患者の本音を聞き出そうと思う。
患者が自分の思いを話し始めたら、私は言葉や目、身体から出る患者の小さなサインや訴えを意識的に捉え、それを患者の言葉と感情と統合させながらさらに患者の奥深くの本音を探りにいく。
ノンバーバルコミュニケーションを用いながら、
オープンクエスチョンによる会話によって患者さんの本音を探りたい
自己対話と解決法探求
本音を探る目的は2つある。
ひとつは、患者の思いが和らぐ解決法を本音から探ること、もうひとつは、私と対話することを通じて患者の自己対話を促し、患者に自身の本当の思いを気づかせることだ。
ここで活用するのが受容、自己の一致、共感というコミュニケーションの3要素である。
受容、自己の一致、共感を活用して患者さんに寄り添いたい。
患者の言葉と感情をありのままに受容する
まずは、患者が表現する言葉と感情を、無条件に関心を持ってありのままに受容する。先入観を持たないように注意したい。
そして、患者が自分の内に秘めた感情を表現できるように促す。
例えば、患者が「この人は私の思いをしっかりと受け止めてくれる」と思えるような言動を意識したり、足浴などの精神的療法を伴う看護技術を用いたりして患者を安心させる。
安心できる環境を整えて、患者さんにリラックスしながら語ってもらいたい。
傾聴
また、患者の本音を引き出すのは、患者のペースに合わせた傾聴である。
傾聴時は次の3点を意識したい。
1点目は患者が話したいことを自由に話させることである。患者に無理に話させようとしない。
2点目は患者のペースに合わせてひたすら傾聴することであり、
3点目は患者が結局何をしたいのか、などという結果を知ろうしてと会話を急いだりしないことである。
それに加え、私は患者が置かれた状況を受け入れて理解したいと思っている、ということが患者に伝わるような、言語的な対人配慮がある傾聴姿勢に私は努めたい。
以上の行為によって受容が完了したら、次は自己の一致をする。
患者の言葉と感情をありのままに受容→共感
ここでは、患者の話を聞いて生じる疑問や否定的な感情などの自分の感情もありのままに認めて受容する。
それと同時に、自分と患者とは違う人格を持っているという事実認識を踏まえて、自分が患者の感情で理解できる点、不明な点は何かを区別していく。
なぜなら、この区別を通じて行われる患者の感情に関する不明点の把握が、自分と患者の気持ちの隔たりを埋める方法の探究に役立つからだ。
また、自己の一致ができることは、自分の気持ちと言葉を一致させた表現につながる。
そのため、患者の気持ちに思いを馳せること、すなわち、共感ができるようになる。
患者さんと自分の価値観の違いを想像力で埋めて共感したい。
まとめ
このように、私は以上のようなコミュニケーションの3要素を駆使して患者の本音を探っていきたい。
そして、それを通じて患者の本音を引き出し、患者の不安や気がかりなことへの思いを和らげるような言語的・身体的な癒しのある看護を提供していく。
このようなコミュニケーションの一形態は、私が身につけなければならない手段のひとつにちがいない。
今後はコミュニケーションの3要素を意識して人と関わりたいと思う。
わたしが履修している臨床心理学の講義では、
「本日も順調に問題あり」(向谷地生良)
という言葉がよく出てきます。
先生の好きな言葉です。
これはどうやら、統合失調症の方やうつ病のかた、依存症のかたと日々向き合っている向谷地生良の言葉のようです。
臨床心理学を学ぶうえで役に立つと思いますので、ぜひ以下の記事も合わせてご覧くださいね。
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