私が中3か高1くらいだった、6年ほど前に知り合ったフィリピン人看護師がいた。
その方は私が看護師を志すようになった一つのきっかけとなった人物だ。
フィリピンの大学を出た美人さんで、英語は堪能、看護師の免許を持って来日してきた。しかし、日本では思ったような働き方ができなかった。
日本の病院での就労状況には眉間に皺を寄せているようで、近いうちに、海外に飛び立つらしい。
難しい国家試験を乗り越え、ようやく日本の在住権を取得して間もないのに、もう日本を離れてしまう理由は、賃金の安さと厳しい労働環境のようだった。
「最近の日本は経済が落ちてきている」「現場は忙しいから研究に励みたい」
そのような発言が聞かれた。
今後、日本は少子高齢化が進むため、高齢者層は暑くなる一方で、労働人口は薄くなっていく。
第一言語が英語であり、多民族国家を謳うカナダでは、少子化高齢化による労働人口の薄さを補うために外国人労働者を受け入れているというが、日本では外国人労働者が働ける環境の整備は進んでいない。
日本の経済が落ちるということは、賃金の高さという外国人労働者が日本に来る動機が失われるということである。
それは産業の空洞化に輪をかけるのではないか。
さらなる経済の沈下につながっているのではないか。
私は、たった6年で日本を去ってしまうこのフィリピン人外国人との関わりを通じて、ようやく、グローバル化の波に乗り遅れている日本の実態を知った気がした。
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